冷えを自覚できない人たち（1）

冷えについても、しっかりとした知識を頭に入れておきましょう。

手足の先や腰など、体の一部が異様に冷たく感じるのが、冷

えの典型的な症状です。

体全体が寒いわけではいないのですが、体のある部分が、し

かもつねに、外気温や室温に関係なく、冷たいのです。

それは、「

体の芯が凍えているのではないか？」と思われるような冷たさで、

外気温を上げたり、冷えの部分を温めたりしても、

なかなか冷たさがなくなりません。

経験のない人にはわかりにくいものですが、当人は、

冷えの辛さをじっとこらえています。

冷えに関する古典的データとして1956年の調査では、

女性の54.5％に冷えの症状がみられています。

だいたい半数の女性が「冷え」だという結果なのです。

新型うつの症状チェック（2）

精神症状
・これという理由がなく気分が落ち込み、悲しい

・不安がある

・焦燥感がある

・集中や決断ができない

・ものごとを考えるのが面倒だ

・記憶力が落ちた

・意欲や自信がなくなった

・根気がなくなった

・口数が少なくなった

・人と積極的に会いたいと思わず、服装もどうでもいい

身体症状
・寝つけず、ちょっとした物音で目が覚めてしまう

・朝、早く目が覚める

・肩、首などが凝りやすい

・目が疲れる

・頭が重い

・体が鉛になったような異常な疲れを感じる

・食欲がなくなった

・性欲が減退した

・笑わなくなった

・便秘・下痢になりやすい

自律神系経症状
・吐き気がする

・めまいがする

・理由なく動悸が激しくなる

・胸が締め付けられるような感じがする

・微熱がある

・じんましんが出る

・円形脱毛症になった


自分に当てはまる項目に〇をつける。

〇が、精神症状、身体症状にそれぞれ3つ以上、自律神経系症状に2つ以上ついたら、

新型うつの可能性があると考えられる。

新型うつの症状チェック(1)

これまでのうつにも、新型うつにも共通するのは、

いつも大きな不安を感じていることです。

しかし、新型うつでは、

「ワタシは不安でたまらない」と訴える人ばかりではなくなりました。

息苦しさ、イライラ、過食や過眠など、

不安がさまざまな身体症状に形を変えて、あらわれることが多いのです。

新型うつの症状をまとめました。

自分や周囲にうつの症状がある方は、チェックしてみるとよいと思います。

新型うつは、症状こそ、これまでのうつに比べて軽めであるものの、

症状がほぼ治まるまでに時間がかかりがちです。

5～6年かかる人がまれではありませんし、

中には10年程度の治療を要する人もいます。

抗うつ薬が効きにくいことも多いようです。

新型うつには、その根っこに冷えが大きく関わっているとしかワタシには思えないのです。

したがって、冷えをなくし、体と心をじんわり温める方法は、

新型うつには、特に、また、これまでのうつにも、

極めて有効だとワタシは確信しています。

新型と従来型はこう違う（2）

このように、新型うつは、周囲から見たら、わがままで、どう扱ったらいいのかわかりません。

でも、本人はひどく傷つき、苦しんでいるのです。

何でもない他人の言葉や行動に深く傷つき、突然泣き出すなど、

感情のコントロールがきかなくなってしまうのです。

うつ症状には、1日のうちに軽くなったり重くなったりする「日動変動」があります。

これも変わりました。

これまでのうつは「午前中は最悪だが、夕方から夜になると症状が軽くなる」のが定番でした。

新型うつでは、これが逆転し、

「午前中は症状が軽いが、午後から夕方に向かって、

とにかく疲れやすく、やる気がうせてしまう」というケースが多くなりました。

うつにつきものの睡眠障害も逆転しました。

これまでのうつは、朝早く目が覚めてしまい、それからは眠れないものでした。

しかし、新型うつは、朝なかなか目が覚めません。

逆に、夜は寝つきが悪く、「入眠障害」を訴える方が多くなっています。

新型と従来型はこう違う（1）

これまでのうつと、新型のうつの違いは、他にもあります。

これまでのうつは、ドーンと大きな挫折をしたことが引き金になる場合がよく見られましたが、

新型うつは、小さな心理的ストレスが慢性的に続いているうちに

だんだん症状が作られて行く場合が多いのです。

まるで「真綿で首を絞められる」ような感じだと言います。

例えば、春に就職してストレスが溜まり始め、

秋ごろから会社に行けなくなるというケースも増えているようです。

ただ、社会人として深刻な挫折を味わう前に、うつになってしまうのです。

また、これまでのうつは、

「自分には生きている価値がない」と訴えるなどの自責傾向が強かったのですが、

新型うつは「自分はこんなに苦しんでいるのに、周囲はわかってくれない」などと、

周囲を責めるた席傾向の方が強くなっています。

そして、症状の訴え方がステレオタイプで、オーバーです。

さらに、これまでのうつは、あらゆることにやる気を失うのが特徴でしたが、

新型うつは、そうではありません。

仕事はやる気にならないけど、ゲームなら夢中になれるというように、

意欲に極端なムラが出るのです。

感情のムラも目立ちます。

昨日は意欲的にやれたことが、今日はやる気になれず、

そんな出来ない自分に傷つき、悩むのです。

新型うつ

うつそのものも、大きく変わってきています。

最近のうつは、新型うつなどと呼ばれ、落ち込みや無気力などの気分障害に加え、

息苦しさや胃痛、頭痛などの身体症状が伴う傾向があります。

また、「真面目すぎて」『几帳面だから」うつになるといった性格による偏向も薄くなり、

誰もが、うつになるように変わっています。

そうなったのも、この10年余りのことだと感じています。

それ以前のうつは、まず、何をするにも気分が落ち込み、

次第に無気力になって抑うつ状態が深まっていくのがほとんどでした。

ただし、重い症状が続くことはまれで、「3か月もすればよくなりますよ」と、

医者はよく言ったものでした。

一方、新型うつは、身体症状は伴うようになったものの、

精神症状は比較的軽く、神経症なのか、うつなのか、

人格障害なのか、わからない方が増えています。

身体症状としては、息苦しさや胃痛、頭痛のほか、吐き気、めまい、だるさ、

疲れやすさ、便秘、下痢、おしっこが近い、じんましんが出る、円形脱毛症がよくできるなど、

自律神経系の症状がよく見られるようです。

なぜ昔はうつが少なかったのか（2）

しかし、時間をさかのぼれば、もっと苦しい時代がたくさんありました。

深刻な不況は何度も繰り返されてきましたし、戦争や極度の貧困なども、

そんな遠い昔の出来事ではありません。

しかし、そうした時代も、うつはこれほど多くはなかったのです。

そう考えると、社会的な要因は、

たしかに、うつの原因になりますが、これまでの急増した原因は、

それだけではないことが分かってきます。

現代社会特有の何かが隠されているに違いありません。

うつ急増の本当の原因を解明すれば、

的確な対策を打つことができます。

それは、自殺者の増加や、

うつによる社会的損失に悩む現在の日本にとっても、重要です。

各方面で研究が進められている中で、

ワタシが着目したのが、うつと冷えとの関係でした。

数多くの方と接してきた実体験が、ワタシに「冷えを甘く見るな！」と教えるのです。

そして、体や心を温める方法をオススメすると、実際に驚くほどの効果が表れるのです。

冷えを解消すれば、うつの急増にも歯止めをかけられると確信しています。

なぜ昔はうつが少なかったのか（1）

うつの急増ぶりは、異常なほどです。

この10年余りで、何と3倍近くにまで増えています。

厚生労働が3年ごとに行う「患者調査」によると、

患者数は1999年（平成11年）に24万3000人だったのが、

2008年（平成20年）には70万4000年にも上っています。

「患者調査」は医療機関を受診した患者数のデータです。

うつなどの心の病は受診率が低く、受診者数は実際の患者数の25％程度と言われます。

つまり、実際にうつに悩んでいる人は、300人近くいることになると言ってよいでしょう。

これに、そううつ病や気分変調症などを含めた気分障害患者全体になると、

どれだけの数になるのか、恐ろしい気がします。

細菌やウイルスなどによる感染症ではないのに、10年間で患者数が3倍になることなど、

これまでの常識では普通、考えられません。

なぜ、こんなに増えていしまったのでしょうか？

社会環境の悪化は、確かに原因のひとつです。

リーマンショックに端を発した世界的大不況は、先が見えないスパイラルに陥っています。

厳しい国際競争で、人は減らされ仕事は増える現場がほとんどです。

会社は人間の心を無視するかのような要求を出し、ノーといえば失業が待っている上、

再就職の道は狭いのが現状です。

これでは、むしろうつになるのが、当然かもしれません。

脳内物質が凍える？

脳科学の成果からも、低体温とうつの関係が見えてきました。

体温と、うつの関係の深い脳内物質であるセロトニンやβ-エンドルフィンなどとが

相関していることがわかってきたのです。

とくにセロトニンは重要な脳内物質で、うつはセロトニン不足が原因の一つだとされています。

うつの人の脳は、セロトニンが分泌されにくくなっていたり、

あるいはせっかく分泌されたセロトニンを神経細胞が受け取る働きが

低下している傾向が見られるのです。

このため、抗うつ剤の多くがセロトニンを分泌せたり、

受容しやすくしたりといった調整に関わるものになっているのです。

しかし、抗うつ剤に頼らなくても、セロトニンの分泌を活性化する簡単な方法があります。

そのひとつが、朝の太陽を浴びることです。

もうひとつが、リズミカルな運動をすることです。

朝の太陽を浴びることは、体温の周期変動を促して上昇させます。

運動が体温を上げることは言うまでもありません。

体温を上げればセロトニンが盛んに分泌されるという単純な関係ではありませんが、

相関関係は深いわけです。

また、セロトニンが不足すると、脳の体温調節機能がうまく働かなくなり、低体温になります。

うつの方に低体温が多いのは、脳のメカニズムからも解明されているのです。

また、体温が高くなると、神が与えた快楽物質と言われ、幸せな気分にしたり、

疲れを忘れさせてくれる脳内物質であるβ-エンドルフィンの

分泌が盛んになることも知られています。

私たちは、うつと言えば「社会環境」「ストレス」「脳内物質」「本人の性格」といった

原因を連想するように刷り込まれて来ています。

ただ、これらの要因のさらに底にあるもの、または要因を包括するものとして、

「冷え」が存在することを確認しましょう。

うつと自律神経失調症

自律神経の働きが、はなはだしく低調になると、自律神経失調症につながっています。

自律神経失調症とは、

「種々の自律神経系の不定愁訴を有し、

しかも臨床検査では器質的病変が認められず、

かつ顕著な神経障害がないもの」

だと日本心身医学会は定義しています。

わかりやすく身体症状をあげると、倦怠感、疲れやすさ、食欲低下、不眠、

浅眠中途覚醒（すぐ目が覚める）、朝起きるのが辛い・・・・・・などといったことです。

精神症状をあげると、不安、落ち込み、イライラ、集中力や注意力の低下、

やる気が萎える、ちょっとしたことが気になってしまう・・・・・・などです。

自律神経失調症と、うつ症状はかなり共通部分が多いことがわかります。

こういう症状があるのに、こういった原因が見つからないとき、自律神経失調症ご名付けています。

なお、「不定愁訴」とは、どこが悪いわけでもないのに、

いつもだるくて疲れやすい、頭が重い、不安感や憂鬱感がある、

突然涙ぐむなど精神的な不安定・・・・・といった症状をさします。

これも、うつとよく似ています。

不定愁訴は手足の冷えが伴うことが多いが、それもうつとの共通点といえるでしょう。

体温が下がると自律神経の働きが低調になり、自律神経失調症に似た症状が表れ、

それをうつだと感じたり、そこからうつが始まったりする、と思います。