なぜ昔はうつが少なかったのか（1）

うつの急増ぶりは、異常なほどです。

この10年余りで、何と3倍近くにまで増えています。

厚生労働が3年ごとに行う「患者調査」によると、

患者数は1999年（平成11年）に24万3000人だったのが、

2008年（平成20年）には70万4000年にも上っています。

「患者調査」は医療機関を受診した患者数のデータです。

うつなどの心の病は受診率が低く、受診者数は実際の患者数の25％程度と言われます。

つまり、実際にうつに悩んでいる人は、300人近くいることになると言ってよいでしょう。

これに、そううつ病や気分変調症などを含めた気分障害患者全体になると、

どれだけの数になるのか、恐ろしい気がします。

細菌やウイルスなどによる感染症ではないのに、10年間で患者数が3倍になることなど、

これまでの常識では普通、考えられません。

なぜ、こんなに増えていしまったのでしょうか？

社会環境の悪化は、確かに原因のひとつです。

リーマンショックに端を発した世界的大不況は、先が見えないスパイラルに陥っています。

厳しい国際競争で、人は減らされ仕事は増える現場がほとんどです。

会社は人間の心を無視するかのような要求を出し、ノーといえば失業が待っている上、

再就職の道は狭いのが現状です。

これでは、むしろうつになるのが、当然かもしれません。