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一人でヒーリングサロンを広島に開店しました。開店までの奮闘記、波乱万丈の人生日記♪
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私たちは店長に紹介してもらった不動産屋さんに向かった。

なるべく早くマンションを決めたい。

すぐには無理かもしれないが、出来るだけ近くのマンションがあったらいいな!

それにあの店長のことだから、ごちゃごちゃうるさいことを言うに決まっているから

という理由もあった。

タイミングが良ければ、2~3日のうちに決めて、引っ越しの段取りをしたい。


その不動産屋さんはわりと近くにあった。

男の人ふたりと若い女の人がひとりのこじんまりとした会社だったけど、

感じのいい不動産屋さんだった。

早速私たちは希望を言って私たちの気に入るマンションを探してもらった。

ファミリータイプのマンションの空きはなかなか見つからなかった。

でも、いくつか見つけることが出来た。


一つは県庁近くのマンションで、外国人専用に造られたマンションだったから

かなり広かったけど、お風呂とトイレが一緒だった。

とはいっても普通のユニットバスではなくて、外国映画に出てくるような

オシャレなバスタブだった。

でも、交通の便と家賃がかなり高かった。


もう一つは前のマンションから歩いて1分くらいしかかからなかった。

部屋はロフト付きでシャンデリアや壁の照明が凝っていた。

玄関を入ると部屋が丸見えになるのがちょっと気にはなったけど、

家具の配置次第では何とかなりそうな感じ。

もともとは大家さんが住んでいた部屋らしい。

それにこの大家さんは、面接をしてから入居を決めるらしかった。
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部屋から出て下へ降りると不動産屋さんが待っていた。
 
不動産屋さんは保証金全額と日割り家賃を返してくれた。

いちいち住人だった人と会って、保証金等を手渡しで返しているかと思うと、かわいそうな気がした。

ただ、火を出した店員さんはあれから助かったけど、行方がわからないんだと言っていた。


大家さんは最初、水商売の人を入れたくなかったみたいだったけど、

場所柄、お昼の商売の人は難しいので、

不動産屋さんが大家さんを説得してマンションの空きは埋めたのだった。

でも、住人が火事を起こすなんて思ってもみなかった。


数ヶ月後に不動産屋さんを見かけたときにはげっそり痩せてしまっていたので、

大家さんにはかなり言われたことだろう。

大家さんは新築でこのマンションを建てて一年も経たないうちに、家賃収入はないばかりか、

直すのに時間と費用がかなりかかることだろう。

大家さんも被害者のひとりだった。

一番の被害者だったかもしれない。
次の日の朝は、昨日の火事のことやこれからの不安で、

あまりいい目覚めとはいかなかった。

焼け跡の残ったマンションに行った。

書類を書かなければいけないし、お昼過ぎには不動産屋さんに会うことになっている。

ついでに少しの荷物も持って出たかった。


昨日の火事の後、焼けた匂いがひどい。

ダメになったソファーや電化製品を見て、改めて火事の怖さを実感した。

窓越しに隣の部屋が見える。

私たちよりかなりひどい焼け方をしている。

隣の奥さんはまだ赤ちゃんの子供がいたけれど、大変だったのではないだろうか?

震災に遭った頃、赤ちゃんは震災に遭ったマンションに入ると泣き出すと

聞いたらことがあったけど、この赤ちゃんも大きくなった時に、

自分に覚えはなくてもトラウマになっていたりするのだろうか?

ふと、そんなこんなことを考えた。


書類には手前の部屋から順に被害品と金額を書いていく。

私としょうちゃんの洋服のほとんどはリビングの部屋にある

作り付けのクローゼットの中にあったので、焼けはしなかったものの煙災に遭っていた。

これも全て書類に書いた。しょうちゃんと暮らし始めてた頃は数えるくらいだったのに、

いつの間にこんなに増えたのだろうと入り切らないくらいになっていたことに気付く。


私は書類を書き終えた頃、お店に話をしに行っていたしょうちゃんが帰ってきた。

少しの間休みをもらうことを話してきたのだろうが、

あの店長は一体どんな反応をしたのだろうか?

やはりあまりいい顔をしなかったのかもしれない。

でも、そんなことは聞きたくはなかったから聞かなかった。

ただ、しょうちゃんはその私の気持ちを知っていたかどうかは判らないけど、

店長から他の不動産屋さんを紹介してもらったことだけを言った。
不動産屋さんからまた明日連絡するとのことを伝えられた。

とりあえず私たちはまだ何も食べてないことに気づいて、

二人でラーメン屋さんに入ってラーメンを二つ頼んだ。

こんな夜になって今日はまだ一食も口にしてないというのに、

胸がいっぱいでお腹がすいていなかった。

そして、ラーメンを目の前にして口に運ぼうとするけれど、食べたくない。

しょうちゃんにも

「やっぱり食べれそうもない」

と言ったけど、

「今日は何も食べてないんだから、無理矢理でも食べなきゃダメだよ!

一口でもいいから食べなさい!」

と言われてしまった。

食べたくないけど、少しずつ口に入れてようやく半分食べた。

ビジネスホテルにでも泊まらなきゃいけないかと思っていたら、

しょうちゃんはお店と電話で話したみたいで、

お店の寮が空いているから当分はそこに住むことになった。

そのワンルームの部屋はこの前まで女の子が住んでいたわりにはとても汚くて、

ゴミも出さないまま大きなゴミ袋が置いてあったし、

カーペットも髪の毛がかなり落ちていて掃除をした形跡もなかった。

それにユニットのバスルームに入ると湯船が黒く汚れていた。

いくら少しの間、貸してもらうといってもこんな汚い所には住めないと思った。

私は近くのコンビニで洗剤とスポンジを買ってきてバスルームの掃除をし、

カーペットは掃除機をかけて、とりあえずの部屋でも何とか住めるようにした。

明日、マンション探しをしたり消防署の書類を書いたり、

不動産屋さんとも会わなくてはいけないから、とても眠れそうな精神状態ではないけど、

早めに寝ることにした。

火事を出した人は風俗店の店員さんで、どうも薬物中毒者だったらしい。

10月でも真夏のようなこんな日にストーブを焚いて、その上に洗濯物が落ちたことで

火事になってしまった。

今までこの店員さんは、未遂で終わったけれど二階なのに飛び降り自殺をしたり、

テレビを付けても大音量にしていたり、と商店街の人たちにも迷惑をかけていた。

私の記憶の中にも、会ったことはないけど二階の人のテレビの音が何を言っているのか

聞き取れるくらいの音量だったのを覚えている。

私たちは知らなかったけど、マンションの住人の中では、この人がもし今度何か起こしたら
出ていってもらうことになっていたらしい。

それがこの火事を起こしてしまった。

この店員さんは煙を吸い込み、意識不明の重体で病院に運ばれた、と誰かに聞いた。

この店員さんは助かるだろうか?

自分たちの生活も心配だし、火事の張本人には腹が立ったけど、そのことも少し心配だった。


数時間が経って火も消え、部屋に上がると保険の調査員の方や消防署の方と話をした。

焼け跡を見て、多少のショックを受けたものの、思ったより被害も少なく、

テレビやビデオデッキ、ソファー、サイドボードはダメになったけれども

洋服は何一つ焼けずに済んだ。

ラッキーだったと思う。

吹き抜けがあったために火は四階に上がり、真上の部屋は全焼だったようだ。

真上に住んでいたカップルは結婚したてで、家具も新調したばかりだった。

引っ越してきて半年でこんなことになって、何もかもを失った。

火災保険には入っていたから最高600万円が出るらしかったけど、お金の問題ではなかった。

そこには二人の思い出がいっぱい詰まっていたことだろう。

私たちも安い家具もあったけれど、しょうちゃんとの結婚前からの思い出がいっぱいあった。

仕事とはいえ、保険会社の人に被害の写真を証拠として撮られた時は、

火事を見に来た野次馬のように人の不幸を面白がっているようで、

私は胸が焼き付けられるように辛い気持ちになった。

被害品と金額等を書くように消防署の人に書類を渡された。

この紙に思い出の数々を思い出しながら羅列するのかと思うと苦しかった。

でも、書かなければ保険はおりない。

今の私たちにとってはとても大事なことだ。

苦しい思いに目をつぶってお金をもらうことの方が大事だった。

でも、他人にはどう見えてま思い出の価値はお金には変えられないと私は感じた。
「遅かったわね!!」

と泣き止んだ私は、しょうちゃんに言った。

「電話したら自分が店に行くまではダメだって言って、さっきやっと来たんだよ!」

って不満そうな顔で言った。


あまり遅いからお店が忙しくて出られないのなら仕方ないと思っていたけど、そんなこと!?

あの店長、仕事も遅くにしか出てこないってしょうちゃんが言ってたけど、どういうつもりなのかしら?

それに近くにいなきゃ何があるのかわからないのに、よりによって西ノ宮なんかに住んでるし、

責任感も何もあったものじゃないわ!初めて会った時、この人なんなの?って思ったけど、

やっぱり私の思った通り!

別にしょうちゃんだって休みたくて言っているわけじゃない!

同じ震災に遭ったのだって別に遭いたくて遭ったのじゃない!

この火事だって遭いたくて遭ったわけじゃない!

それもあの頭のおかしな人が出した火に巻き込まれて、こっちこそえらい迷惑だ。

とは言っても、本人だってわざとしたわけじゃない。そんなことを言っても、

人の気持ちが判らないんだから仕方ない。

顔を合わせないだけまだマシだ。


火事になったことを知って、大家さんと不動産屋さんがやってきて、

このマンションの住人は近くの喫茶店にいるように言われた。

特に何をするわけでもなくみんなでジュースを飲みながら、

待っている間の退屈な時間をおしゃべりをしながら過ごした。

おしゃべりをしながらでもどれだけ家財が焼けずに残るのか心配だったし、

明日から何処に住むのかと心配だった。

でも、まだしょうちゃんがいたから、心配は心配だったけど、変な安堵感はあった。
不安を感じながら、マンションを燃えるのをずっと見ていた。

しょうちゃんはいつになっても帰って来ない。

心細い気持ちを隠しながら、私は今か今かとしょうちゃんを待っていた。

預金はあるものの、家具も電化製品も洋服も焼けてしまったら、

この先、私たちはどうやって生活していくのだろうか?と悲しくなってきた。

せっかく買ったソファーも炎の上がっている場所にあったから、

焼けてしまっただろうな!と思った。


このソファーは広いリビングに住むから、初めて私がホントに欲しくて買った家具

----私はソファーには楽しい思い出があった。

子供の頃、私の実家のリビングにはテーブルと三人掛けのソファーがあった。

夏休みなんかは、母がカルピスを作ってくれたりアイスココアを作ってくれて

みんなで笑いながら飲んだ。

父は新し物好きでクーラーも早くに付けてくれて、このクーラーの利いた部屋で

テレビを見ながらソファーに横になってうたた寝をするのが私は好きだった。


家族が仲良く過ごせた懐かしい風景にはソファーがあった。

でも、このソファーはいつの間にか壊れて捨ててしまった。


私のソファーも何ヵ月も使っていないけど、やはり子供の頃みたいに横になりながら

本を読んだりテレビを見たりしたのに・・・悲しい(;_;)

そんなことを考えている間にしょうちゃんは隣にいた。

「ヒロ、怪我はないか?」

と言われた途端、緊張の糸が切れて涙が出てきて、

私はしょうちゃんの胸の中でしばらく泣いた。
こんなスレ違いの生活になって半年が過ぎ、環境の変化にも慣れた頃、悩みの種があった。


下の階の住人が夜中過ぎにドタバタと音を立てる事が何日か続いた。

ふたりがウトウトと眠りに入ろうとすると、部屋をドタバタと走り回るような音がするのである。

次の日も続くようであれば大家さんに言おうと思っていた。



いつも通りしょうちゃんは仕事に出かけた。

私はその日はお休みだったので、ベッドの中でゴロゴロしながら、

本を読んだりTVを見たりしていた。

すると、リビングでパチパチと音がする。

何の音かと思ったら、吹き抜けから火が上がっているのが見える。


家事だ(+o+)!!


とりあえず、私はしょうちゃんに電話しなければ・・・と、携帯電話を手にするけれど、

気が動転して電話の仕方が判らない。

「落ち着け!」と自分に言い聞かせて、深呼吸を三回してしょうちゃんに電話した。

「しょうちゃん、帰って来て!火事なの!!」

「わかった!すぐ戻るから!!」

私は急いでバッグを持って部屋を出た。

お昼過ぎに銀行に行こうと思っていたので、

数万円の現金と通帳、印鑑は幸いにもバッグの中に入れていた。

しょうちゃんのセカンドバッグも持って出たかったけど、

窓際だったので火が怖くて持って出ることはできなかった。


急いで階段を降りて外に出ると、同じマンションの住人たちがいた。
私は急にしょうちゃんとの生活ペースが変わってしまい、なかなか慣れなかった。

でも、新しいお店も決まり更にスレ違いが多くなった。

休みの日もなかなか一緒に出かけることが出来なくなり、私は一人でいることが多くなった。

映画やお買い物も独りで出かける。


結婚前はよく二人で出かけたけど、しょうちゃんは仕事が忙しいから仕方ないと諦めた。


独りでいることに慣れなければ!!


でも、もともと独りで行動するのは苦ではなかった私だけど、

あまりにもしょうちゃんがいつも一緒にいてくれるのが当たり前になっていた。

こうやってそばにいる当たり前にいつの間に慣れてしまっていた。

結婚前はずっとそばにいたくて、お互いを判り合いたくて、一緒にいる時間がすごく嬉しかった。

それがすごく短い時間でもよかった!

あの頃の気持ちを思い出すと、しょうちゃんが私にくれた優しさが身に染みて

胸の奥がズキズキと傷んだ。


あー、私は幸せだったんだ!
しょうちゃんは遅刻しないで毎日早くに出かけた。

辛そうではあったけど、眠い目をこすりながらもちゃんと起きて出かけていた。

たのもしく感じていたけれど、ちょっと寂しくもあった。

前みたいには一緒に過ごす時間がなくなってしまった。

早くに出かけて夜遅くまで仕事をしているせいで、しょうちゃんは疲れが蓄まり、

帰るとゆっくり眠りたかったようだ。

ご飯を食べている間しか、しょうちゃんと会話をする時間がなくなってしまった。

そんな辛そうなしょうちゃんを見ていると「寂しい」とも、

たまには「Hしよう~♪」とも言えなくなってしまった。


でも、私が休みの平日のある日、しょうちゃんは私が寂しく思っているのを察したようで、

まだベッドの中で燻っている私にキスをして言った。
 
「行ってくるよ!ヒロには寂しい思いをさせるけど、ゴメンな」

私はそう言われた途端、何でか分からないままに涙が出てきた。

しょうちゃんは、泣く私の頭を撫でながら

「大丈夫だよ、愛してるよ」

と私を強く抱きしめた。

私の気持ちをわかってくれていることが嬉しくて、涙が止まらなかった。
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