ロマンチックには程遠い夜

この日、しょうちゃんはＨをしたがった。
でも、私は日本中のカップルが
Ｈをしているかと思うと気持ち悪くて
どうしてもその気にはなれなかった。

ごめんね・・・
今日は嫌なの(T_T)

人と同じは嫌！
ある意味宗教みたいに感じていたから(;_;)

もし同じ日にＨをして子供が出来たら
秋には生まれるのか！
ハネムーンベイビーならぬ
クリスマスベイビー・・・だ。
別に同じ日に生まれる人は沢山いるけど、
この日だけはイヤだった。
 
クリスマスにカップルが
ホテルでケーキやチキンを食べ、
儀式のようにＨをするのが
どうしても許せなかった。

クリスマスが一体何の日か知らない
カップルが多かった事だろう。
ロマンチックな夜には程遠いように感じた。

ふたりのクリスマス

しょうちゃんのギャンブル癖は
気にはなるものの
そんな事をいつもいつも
考えてはいられない。
12月に入ると、
仕事の方が忙しくて
毎日バテバテだった。

毎日忙しくしていても
クリスマスイブもクリスマスも
去年と同じようにやってきた。
ただ去年と違うのは、
私にはしょうちゃんがいた。
クリスマスイブもクリスマスも忙しくて
当日には祝えなかったけど、
余り物のクリスマスケーキを買って
二人でろうそくの火を灯した。

そして、ペアの腕時計をプレゼントに
しょうちゃんは 買ってくれていた。

前に私がしていた腕時計は
お店に忘れて帰って
いくら探しても見つからなかったことを
しょうちゃんは覚えていてくれたのだ。

もしかしたらギャンブルで
儲けて買ったのではないか？
と気にはなったけど、
プレゼントはとても嬉しいものだった。 

時計をなくしてがっかりした私のために
しょうちゃんが買ってくれたことは、
どんな高価な物より心がこもっていて
涙が出そうなくらい胸がじ～んとした。

ギャンブル癖は治らない

ギャンブルが好きなしょうちゃんを
好きになってしまったのだから
仕方ないのかな～゜。

ギャンブルは癖だから治らない

とはわかっていても
認めたくはなかった。

いつかはやめてくれると思っていた。

でも、出かけるたびにパチンコ・・・

嫌々ながらもパチンコ台の前に座ってると、
私の気持ちとは正反対に
いつも勝ってしまう(・・;)

何でなの？
勝ちたくなんかないのに… 

けど、この勝ったお金で
外食もできれば
お洋服も買えているのも事実なのだ。

哀しい現実！！！

当分はしょうちゃんのギャンブルは
おさまらないだろう。

するな！と言えば、
きっと隠れてするように
なるだろうし、
好き勝手にやらせていたら
あるだけのお金を使いそうで(´Д｀)

別に生活に支障があるわけじゃないし、
私のお金に手を付けるわけじゃないし・・・ 

まっいっかー(;^_^A

行き当たりバッタリで映画を見る

映画はいつも行き当たりバッタリで
時間が合うものを見た。

話題になっているものや
全米No.1になったものを
期待して見に行くと、
期待はずれで面白くないことが多かった。
好きな俳優さんや女優さんが出てる以外は
内容もキャストも知らないで
見に行くようになっていた。

ロマンスだったりコメディだったり
シリアス系だったり、
・・・どんな映画かわからないから
変に期待することがなくなったせいか、
素直に受け入れることができた。

西村珈琲のジャーマンセット

ようやくお買物も終わり、
西村珈琲でブランチを食べる。
西村珈琲は神戸の古くからある喫茶店で、
いつ行ってもいっぱいだった。
ここは、コーヒーが最高においしくて、
しょうちゃんは気に入っていた。

私もこのお店の
阪急デパート限定メニューが好きだった。
ジャーマンセットは、
パンに甘い味付けをして
焼いたドイツのおやつと
、グループフルーツティーの組み合わせは
私のお気に入りだった。

何でそんなに時間がかかるの～！？

私は別にパチンコはどうでもいいことだった。
確かに珍しかったけれど、
ただ私は、しょうちゃんが楽しければ
それでよかっただけ！

休みの日はふたりで
ハーバーランドに行き、
阪急でお買い物、
そしてパチンコをして
映画を見て御飯を食べて
帰るのがパターンになった。

私もしょうちゃんも
洋服が好きだったから
毎回のように阪急デパートの
好きなブランドショップに寄る。
私はデパートで働いたことがあるから
客の心理を知ってるから
服を選ぶのに迷うことは
ほとんどなかった！ 

しかし、しょうちゃんは
女の子みたいに迷って
買うまでにかなり時間がかかった。
私はいつも決まるまで
椅子に座って待った。

そういえば、お客さまが言ってたことがある。

何で女って買い物に時間がかかるのか！？
あーでもない、こーでもないって、
別にどっちでもいいじゃない？
待つのに疲れるよ！！

って。

私たちの場合は逆だね。
しょうちゃんはシャツ一枚選ぶのに
一時間はかかってしまう。
インスピレーションで選ぶ私には
しょうちゃんが何でそんなに時間が
かかるのか理解出来なかった。
私より少しだけ慎重だったのかもしれない。

初めてのパチンコ

シャワーを浴びてふたりで早めに出かける。
仕事にはまだ間があるから、
パチンコ屋で時間をつぶす。

私はパチンコをしたことがなかったけど、
しょうちゃんは暇な時にはよく来るみたいだった！
やり方のわからない私は、しょうちゃんの隣に座って
言われたようにハンドルに手を置いていた。

何が面白いのかわかんない---------っ！
っていうか、タバコの煙で息苦しいし、
音がうるさくて耳が痛いよー！！

って周りをキョロキョロ見ていると、
私の台が全部一緒に回ってる！

「しょうちゃん、何かこの台壊れてるよ！？」

「手離して！」

私の知らないうちに大当たりしていた！

へー、こうやってお金儲けできるのかー゜+。(*′∇｀)。+゜

初めてパチンコをして500円で８万円も儲けてしまった！

なるほど、男の人ってこうやって遊んで
お金を稼いでお店に飲みに来てるのかあ－－－☆


その日から、しょうちゃんは
私をパチンコに連れて行くようになった。

私ってしあわせ(* ´∀｀*)

二人だと少し狭いけれど、一緒に住み始めた。

いつも帰るのは私の方が先。
好きな人が帰ってくるのを待つ楽しさ・・・ 

マンネリ化した夫婦の気持ちが
わからないんですけど！

しょうちゃんが帰って来たら、
「おかえりなさい～♪」
と言って出迎える。

そして、一緒に御飯を食べる。
寝る前には、パズルゲームしか
出来ない私に付き合って、
テトリスやぷよぷよで遊んでから
寝るのが習慣になった。

私は、眠るまで一緒に居られる事が
すごく嬉しかった゜+。(*′∇｀)。+゜
朝目覚めると、隣にしょうちゃんが居る。

私ってしあわせ！
って実感する瞬間。

子供のような寝顔・・・ 

寝ぼけ眼で私に
キスをせがむしょうちゃん。
仕方なく、彼の唇に触れる。

柔らかくてとろけそ～！

居心地のいい場所見～つけた♪

そんな生活を19歳まで続けて、
地元神戸に帰った。

都会の生活の中で、
刺激的ではあるけれど、
やはり他人と関わりを持たない東京は
関西の人懐っこさとは違って
人に優しくない街だと
感じたのだろうか？

家族と一緒に住むこともなく、
話すこともなくきたしょうちゃんの10代の生活で
人のぬくもりとか家族との絆とは
しょうちゃんにとっては
憧れになってしまった。

私のマンションの行き来でしょうちゃんは、

居心地のいい場所を見つけた！

と思い始めていたみたい。
そして、この頃から早く家族を作りたいと
思っていたのかもしれない。

淋しさから逃れることなく

中学を卒業すると、
しょうちゃんは東京に出た。

バブル全盛期で日本中景気がよい頃だった。

東京に出ると、新聞配達をしたこともあったし、
喫茶店で働くこともあったらしい。 

しかし、この景気のいい世の中、
大金を稼ぐこともあった。

ディスコ通いをしたり、飲み歩いて、
1日で何十万を使い果たすこともあった。
それに子供の頃にギャンブルを覚えていたから、
パチンコや競馬もしていた。 

淋しさを紛らわすためだったのかもしれない。
仲間と騒ぐのは楽しかったけれど、
心のどこかには家族のことが
頭から離れなかったのだろう。

この頃の生活は楽しかったけれども、
決して淋しさから逃れる事も出来ず、
心は満たされることもなく、
派手なお金の使い方を
覚えたに過ぎなかった。